断熱と気密とは車の両輪みたいなもの
いつ収束するのか武漢コロナウィルスの影響
ヨーロッパでは第3波が押し寄せ、日本でもこれから冬に向けて再流行が懸念される中、社会はウィルスと共存していく方向で進んでいます。それに伴い社会の在り方にも確実に変化が出てきました。リモートワークや不要不急の外出を避け自宅で過ごす等、家族が自宅に居る時間も多くなってきたため、より快適に過ごすための対策として室内の「換気」の重要性が求められています。
現行法では換気対策としては下記のことが義務付けられています。
■ 外部に面する 開口有効面積が部屋面積の1/20以上確保。(建築基準法28条第2項)
■ シックハウス対策による24時間換気システムの設置の義務化。
これは室内全体の空気を2時間で1回以上機械による換気設備で入れ替えるという設定です。このためには建物の気密を上げて、給気口以外のところからは外気が侵入しないようにすること、すなわち高気密住宅にすることが重要です。
具体的には、外気の新鮮な空気を居間、寝室、洋室に設置した(自然)給気口から取り入れて、トイレや洗面所、キッチン、収納等からダクトで一カ所に集めて強制排気をします。これは第3種換気システムと言います。
ひと昔前の住宅では想定外の隙間から外気が侵入することにより、給気口から取り込んだ新鮮な空気の流れが悪くなり計画通りに排気できないばかりか、台所や洗面、トイレからの悪臭の逆流等の問題も出てまいります。
ダイニングで食事中にトイレの悪臭が入ってきては最悪です。
高気密住宅では気密度を計測するために気密試験というものを行います。
気密値のことをC値と言い、単位は㎠/㎡で表します。C値○○㎠/㎡とは建物全体にある隙間面積を延床面積で割った値のことです。
ひと昔前の建物は気密試験をしてもNG(計測不能)が出ることが多く、恐らく16㎠/㎡を超えていると思います。C値が5㎠/㎡以下であれば計画換気が可能と言われていますが理想は高気密:2.0㎠/㎡以下です。
新建ハウジング調査による2年以内に住宅を購入した人への”高気密、高断熱住宅に住んでからの変化、住み心地”についてアンケート調査”によれば、トップから光熱費の減少、家で過ごす時間が長くなった、ストレスの減少、朝起きが楽になった等の結果になっています。
このように理想的な快適空間実現には断熱性能は大前提であり、24時間計画換気システムを取り入れた高気密住宅にすることが条件なのです。
いわば 断熱と気密とは車の両輪みたいなものですね。
そのどちらが欠けても快適空間は望めません。
ところで、断熱材の性能は材質と厚さによって決まります。同じ材質であれば厚さに比例して厚いほど性能も良くなります。しかし、気密性能は材質ではなく施工精度に左右されます。すなわち大工さんの腕、熟練度及び施工会社の技術力にかかっているのです。ですが現状は、断熱仕様は各メーカー、施工店共に性能面で競い合っていますが気密仕様についてはあまり目にしません。
それはなぜでしょうか。
大手メーカーは大量生産と業務の効率化が求められ、又熟練度の高い職人さんの確保も困難な現在では手の込んだ施工は避けられがちで高気密工事をうたっているところが少ないのも理解できます。
それに24時間換気システム義務化による気密値の制約はないのです。断熱材施工の法制化も現在は有りません。
以上のことから高断熱・高気密にこだわれば、高気密工事にこだわった工務店に任せるのが一番だと思います。
今後、残念ながら新型コロナウイルスの脅威も当面は続くと考えられ、益々高気密住宅の重要性が求められていくことでしょう。
私たちはこれからも理想の住宅を追求して快適な空間づくりを目指してまいります。