受け継いでいくもの 受け継がれるもの



三年前に母屋を建て替えられ、鉄骨造の既存倉庫が残りましたが、台風の時等に屋根材が飛んでいく危険がありました。もはや、以前お施主さまご夫婦の先代が農業を営まれていた際の倉庫としての役割は終了し、家庭用の荷物等を置いているだけでした。
補修も検討されたようですが、経年劣化が激しく解体し、木造で建て替えようということになりました。

その際に「私たちの次の次の世代まで建て替えの必要のない建物にしてほしい。」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。



そこで、屋根に合掌を組むという伝統的な工法を取りいれ、空間も確保しつつ、丈夫な建物を作ろうというご提案をさせて頂いたのでした。シャッターも塩害に強い通常の10倍もの耐食性のある高耐食性カラー鋼板を取り入れ、枠も錆びにくいステンレス製のものを使用しております。

近年、木造建築物の寿命は~十年などと謳っているメーカーや、国でも長期優良住宅等、建物の長寿命化が注目されていますが、厳密に建物の寿命を断言するのは非常に難しいところです。いかに質の良い木材、丈夫な素材を使用しても、「人が住まなくなった建物はすぐに悪くなる。」を言われるように、愛情をかけられることのなかった建物は悪くなるのが早いのです。
愛情をかけられ、人々の活動の器となっているような建物はいきいきと、たとえ時が経ったとしても美しいままです。



大工さんや職人さんたちが心を込めて作った倉庫です。
新しく生まれ変わった倉庫をどのように使用されるかは、未だ検討中だそうで、オーナー様ご夫婦の愛情いっぱい育てられた農作物の収穫置き場や、また、遊びに来られたお孫様の遊び場所。軒の下で、夏の日はバーベキュー等オーナー様ご夫婦とそのまわりの方々に可愛がってもらえることを担当者一同願っております。

また、オーナー様ご夫婦からその次の世代に受け継がれていくときも、「私たちの次の次の世代まで建て替えの必要のない建物にしてほしい。」という思いも、建物と共に受け継がれていくのでしょう。
私たちも、より質の高い建物、可愛がって頂ける建物をご提案しなければ、とオーナー様ご夫婦のその優しい思いやお人柄に触れ、そう感じたのでした。



・・・福岡の木造建築物はメイプルホームへ・・・ 160307

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